自分らしく生きたい(1)
- 2011.12.14 Wednesday
- 17:36



東京に戻ってきて、いつもと変わらぬ日常風景を見ると、ああ平和だなあと感じます。もちろん、東京も節電を行っていて駅や大きな施設は幾分暗いので震災の影響を感じるのではありますが。
このような温度差が被災地にもあります。津波は境界線がはっきりしていて、国道の東は荒廃していますが、その西は地震のつめ跡はあるものの家は住める状態で、もっと山に行けば、いつもと同じような生活ができています。
それが、一つの職場でも起きます。被災しながらもなんとか気持ちを切り替えて仕事をしている職員と全く被害のなかった職員。そういった職場の中で、どう接していけばいいのか。みな、力になりたいと思うのですが、そこに気遣いによる遠慮があったり、気持ちが不安定になっていることで行き違いが生じたり。
私がみなさんに伝えてきたのは、孤立しないこと、孤立させないこと。病院で行った講習会の最後のスライドは「みなさんとともに」という言葉で、それは日本中が応援しているということと共に、被災地で孤立しないこと。声をかけあって、つながっていることを確認しあってほしいというものでした。
今回の支援が実現できたのも「つながり」があってこそ。
地域や職場の信頼厚い医師らが呼びかけてくれ、職場の管理職が職員に声をかけ、役所の保健師さんたちが、県外からたくさん訪れる支援の中心になり避難所につなぎ、避難所に交代で入っている他県からの保健師さんたちもまるで地元の人間のように溶け込んで、自らもいっしょに学んでくれる姿勢はすばらしいと感心しました。
一番寄り添ってこころのケアができるのは保健師さんかもしれません。
報道されているほどの「こころのケアに対する抵抗感」はあまり感じられず、むしろ、みなさん、具体的にどうしたらいいか聞きたいという印象でした。
「治療」や「PTSD」という用語が一人歩きをしてケアを遠ざけてしまうのかもしれません。「こころのケア」という言葉も先回りし過ぎて、個人の回復力を阻害しないように気をつけなくてはならないと思います。
役所・医療・教育・福祉・自衛隊などの分野の方々、あるいは一般の方々、ボランティアで援助している方々と関わりましたが、こころのケアについては、各方面から資料も提供され、心理教育も行われており、みなさん、知識はお持ちです。
そこからもっと具体的に、実際に災害で今何が起きていて、これから何が起きていって、それにどう対処できるかを、私の阪神大震災での体験を少し織り交ぜてお話しました。
TFT協会が数年前、ルワンダで戦争孤児の支援を始めた際に、支援メンバーの1人スザンヌ・コノリーが「コミュニティにTFTを紹介するときが来た」と語りました。
日本にもその機会がやってきたのだと思います。
そっと寄り添って、今置いていける辛さだけいっしょにちょっと横に置く・・・そこだけはまだ時間が止まっている・・・でも、自分は今やらなければいけないこともたくさんある・・・そこはそのまま止まっていてもいい・・・少し横に置いて、今を見ながら、時間をかけて心の整理をつけていく・・・「コミュニティのためのTFT」
震災から2週間以上経って、支援活動や援助が前よりも具体化されつつあるように思う。今日の読売新聞の記事「海外から支援続々」。世界中の著名人、有名人初め、多くの人たちから暖かい応援をいただいている。私の所属するTFT協会(米国)からも支援の申し出を多数いただき、募金活動を始めてくれている。とてもありがたく思う。
しかし、その先は、次の見出しも続く。「日本側、調整に時間」「申し出、生かし切れず」「どこに何が欲しい?各国から不満」。たくさんの応援をいただき、これからどう生かしていくか、大きな問題になるのではないか。
日本人は調和を得意としながらも、組織になると中々人間関係がややこしくなる。いざ別機関と連携しましょう、となると突然消極的になり、決断に時間がかかる。米国のような開拓精神ではなく、農耕民族で忍耐と蓄えが生活の中心であったせいだろうか、突然の変化に対応を迫られると適応しきれなくなる。
東北を支援したいたくさんのマンパワーの力をこれから生かして欲しい。こういうときに、巧みな経済人が合理的なシステムを作れないものか。しかし、そこはやはり「官」がちゃんと道筋を作ってくれないと「民」も動けないというのにもうなづける。
日本人は、気遣いのある清い精神を持った民族であると思う。しかし、こういった窮屈さ、流れの悪さに自分の力を生かしてもらえないと多くの有能な人材が海外に流れていった。たくさんの優秀なマンパワーをこれからの日本のために生かしてもらいたい。
3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震でたくさんの尊い命が奪われたことに胸が痛み、心よりお悔やみを申し上げるとともに、被災した方々の回復のためのマンパワーとして貢献していきたい。